私は、5年前にも(令和元年6月28日第二回目黒区議会定例会)ヤジが飛び交う議場にて「大韓民国ソウル特別市チュンナングとの友好都市協定締結について」反対を致しました。また同日に提出された議員の派遣についても反対をしました。
- 時期の悪さ(日本が7月に実施した半導体3品目の輸出管理の強化に韓国が猛反発。対抗措置の応酬で民間レベルでも日本製品不買運動やボイコットジャパン運動など日韓対立が深刻化していた時だった)
- プロセスの悪さ
- 将来の展望のなさ=内容の悪さ
の主に3点の理由からの反対でした。詳細は当時のブログをご覧ください。https://aishirakawa.tokyo/blog/4638
この時もやはり、3区間(北京市東城区・ソウル特別市中浪区・東京都目黒区)による青少年(男子中学生のみ)のバスケットボールの試合という3区間の交流事業が実施されるタイミングに合わせて目黒区と中浪区の友好都市協定の締結式が催され、式典出席のために目黒区議会の議員団8名が公費により韓国に派遣されました。他にも政務活動費(皆様からの税金)を一部の渡航費(半額までは認められるという事務局見解)に充てる事が許されている目黒区議会の日韓友好目黒区議員連盟の議員らも日程を合わせ渡航し、公式行事の一部にも参加していました。
公式に派遣されていない議員連盟の議員(非派遣議員)が公式な行事に参加する事を認めたことがある例は23区中でも3区しかなく、目黒区議会の体質がそこからもお判り頂けるかと思います。
その後、3区間の青少年たちはコロナ禍の影響を受けオンラインで交流事業の開催を行ってきました。では、その間に目黒区議会は他の2国の議会との間でなにか特段、区民利益に資するような活動を行ってきたのか?と問われれば、目黒区議会に表敬訪問された代表議員団をお迎えし意見交換を行っていた事実はあるものの、それによって何がどう区民の皆様に還元されたのかは残念ながら全くお示しできていません。
令和元年時点で「今後の事業計画がない」というお粗末な目黒区議会の現状は令和6年になっても未だ変わることなく、今後の展開、展望、目的がはっきりと定まっていないまま、コロナも5類に移行、海外渡航が可能になった今年も3区間の青少年によるバドミントンの試合が行われるタイミングに合わせて、ソウル特別市中浪区から招聘を受けたので、この三区間の交流事業を視察しに行こう!!という相も変わらずの内容での議員派遣を行うとのことです。
中浪区議会議長からのレター
1泊2日の韓国旅行に11万円!!
今回、目黒区議会多数派の賛成により区議会議員1名を1泊2日で韓国に派遣されることになると一人あたり約11万円の議員の旅行費用が皆さんの税金から支出されます。
これら渡航費は全て公費(税金)で負担されるため、一人当たり
飛行機代 ¥8,5220
ホテル代1泊 ¥26,200
その他にも現地の移動費、通訳の費用等もろもろ必要となり、トータル8名(共産党を除く各会派の幹事長と議長、議運委員長、生活福祉委員会委員長)随行職員2名という大所帯の移動に伴う経費に150万円~160万円程度かかるということです。←(共産党は議員派遣に反対したため共産党幹事長不参加に伴いトータル人数が8名に変更され、1名分の経費が削減される予定。)
今回の議員8名の韓国派遣の目的は?
- 相互理解と友好関係の増進
- 協力関係構築のための意見交換
- 三区間交流事業の視察
とのことです。以下は工程表案です。
具体的にどのような議題についての意見交換をするのかも、訪問先自治体のどのような施設を視察するのかも一切の記載がありません。(派遣の1月前になっても全く内容が詰めきれていないということが判ります。)
交流事業そのものに反対はしませんが、この内容であれば、議会を代表して議長1名を派遣することで事は足りるのではないでしょうか?(区側から区長や職員数名も同日程で渡航予定)
共産党目黒区議団は今回、議員派遣を見送る決断をしましたが、派遣すべきとした議員(維新の幹事長)が1名分増えていることで、最終的に自民党から4名、未来、公明、立憲、維新会派からそれぞれ1名、計8名と令和元年度と変わらぬ人数となり、下記の議員らが派遣される予定です。
(因みに令和元年の議員団派遣は2泊3日の工程で1人当たりの旅行経費は約9万円でしたので1議員あたり約2万円増額になっています。)
内閣総理大臣並みの1泊¥26,200のホテルに宿泊する区議会議員達
そして、今回の議員団の派遣で私が最も問題視している点は1泊あたりの宿泊料の金額が『国家公務員等の旅費に関する法律』で定められている範囲を逸脱していることです。
国の基準に照らせば私たち特別職公務員である区議会議員の旅費は目黒区の副区長と同等ということになり、下記の表の区議会議員は「指定職」に区分されます。また、大韓民国は「乙地方」に分類されますので、本来であればこの規定に沿って1泊あたりの宿泊費を¥17,200に収めるべきだと考えます。
以下の表は、国家公務員等の旅費に関する法律 第三章 外国旅行の旅費 第三十五条 別表第二 (日当及び宿泊料の額は、旅行先の区分に応じた別表第二の定額による。)
ですが、目黒区議会では上限金額を大幅に超え、内閣総理大臣並みの1泊¥26,200のホテルに宿泊することを許しています。
それについても議会として議論した痕跡は一切なく、事務局が問題ないというのだからそれで良いのだ。と、何の疑問も抱かずにただそれを了承するだけでの機関に成り下がってしまっていてはどのような良い学びの機会を得てもそれを活かすことができないのではないでしょうか?
議会としてこれら一切の議論や検討を避け、事務局に丸投げし、旅行代理店に委託事業としてただ発注した結果のみを受け入れるのであれば議会は思考停止しているも同然です。
この点に関して議会として、どのような判断基準を用い、どのような検討の過程を経て、どなたが許可をしたのか全くわかりません。
また、この規定上限金額を超えて宿泊費を公費負担する事は「正当な理由があれば問題ない」との認識を事務局長は示していましたが、では、正当な理由の範囲は?そして問題ないと判断したのはいったいどなたなのでしょうか?事務局長でしょうか?議長でしょうか?それとも議会運営委員会委員長でしょうか?
さらに言えば、規定上限金額との差額¥9,000を公費負担する事は妥当なのか?政務活動費を用いて差額を負担する事は考えられないのか?こういった事に関しても議会運営委員会において検討や議論をされた痕跡が一切見当たりません。
世界的な「インフレ」そして昨今の航空運賃の高騰(原油高)や、円安の影響(2020年には100ウォンあたり約9円の為替レートでしたが、2024年5月現在では100ウォンあたり約11.47円までウォン高が進行)など渡航先での物価高(韓国2024年のインフレ率は約2.5%見込み)も今回の議員団派遣の一人当たりの旅費単価を押し上げている要因になっていると考えられますが、そのことと、議会が上限金額を大幅に超えた宿泊費を許容した理由を説明する責任を果たしていない事は全く別の問題だと考えます。
2024年の日本人の海外旅行意向調査でも物価高を敬遠し「海外旅行に出かける回数を増やす」と回答した人は15%にとどまり、世界7カ国平均(32%)の半数に満たない結果となっています。
民間企業で働いて税を納めている国民区民が物価高を理由に海外旅行を控えている中、それら区民が収めた税金を使って、一般職員よりも更にコストの掛かる区議会議員がお付きの者まで引き連れて海外旅行に行くことにやはり私は必要性を見出せません。
よって、私、白川愛は大韓民国ソウル特別区中浪区への目黒区議会議員の派遣に反対いたしました。