「名ばかりホテル」の急増を止められるのか?!

2025(令和7年)年9月、住宅街で増える一般住宅と見分けがつかない戸建ホテルの問題をいち早く議会で取り上げ、一般質問を通じて目黒区行政に「目黒区内で稼働中の一般住宅と見分けがつかない宿泊施設の現状と課題、区の認識について」確認したことは、既にブログでまとめた通りです。ぜひ過去ブログもご参照下さい。

打つ⼿なし?厳しい⺠泊規制の影で増える⼾建てホテル(旅館)
https://aishirakawa.tokyo/blog/6201

令和7年9月5日時点で、青木区長は、「事業者による周辺の住民への十分な説明や丁寧な対応、施設の適正な運営の確保が必要である」との認識は示したものの、「営業規模や建物形態(戸建て・共同住宅の一室等)ごとの体系的な分類・集計は実施していないと答弁。

また、一般住宅と見分けがつかない宿泊施設がこのまま増加し続けていった場合の将来的な影響についても、目黒区は旅館・ホテル、住宅宿泊事業数が23区中最も少ない状況であることを理由に「今のところ将来的な影響についての調査や研究といったことは行ってございません。」と答弁していた。

更に私は、目黒区の住宅事情から近隣とのトラブル(実際に起きている!)に発展する可能性が大きい「私道の問題」も質問しています。

建物入り口が私道にしか面していなくても旅館やホテルは営業許可される問題。
●隣の⼾建てホテルの宿泊者が朝まで私道に無断駐⾞。迷惑だが誰も取り締まれない。

青木区長は「私道上の駐車については、相談に応じておりますが、区が直接関与できるものではないため、結局のところ、私道所有者の方々で解決していただいております。」と答弁。

ここまでの区長の答弁を聞いている限り、あくまでも旅館・ホテル業を営む事業者任せ、区長として良好な住宅環境を維持し、区民の不安に寄り添おうとする強い覚悟のようなものは一切伝わっては来ませんでした。

令和 7 年第 3 回定例会(第 2 日 9 月 5 日)議事録

しかし、その後2026年2月17日には雑誌『SPA!』紙面でも「名ばかりホテル」が急増中。という記事が出され、この記事はヤフーニュースでも取り上げられました。住宅街目黒区に外見は民家で、運営実態は民泊にすぎない「ホテル」が多数営業している現状が伝えられています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1db6610cc34cfe9276d01ce011041848dafc6a34

2月27日には、読売テレビのお昼の情報番組『情報ライブ ミヤネ屋』でも、目黒区で一軒家型ホテルが増加している背景や、なぜ閑静な住宅街目黒区で宿泊施設トラブルが起きているのか、名ばかりホテルの現状を近隣の方への取材や事業者への取材内容などもまとめた内容が放映されました。

これらのメディア取材に私が協力したこともあり、同様の事例で不安を抱えている住民からの相談が私のところにも数多く寄せられました。反響の大きさに驚くと共に、これまでは誰に相談して良いのかわからなかった。実際にトラブルが起きてからじゃないと警察も区役所も対応してくれない。という声も多くあり、我慢していた区民の方が多いにも関わらず行政の対応が後手に回ってしまっていることを痛感し、規制緩和で民泊と旅館・ホテルの境目が曖昧になり過ぎてしまっている事も自治体への不満にもつながっているのではないかとも感じました。

目黒区行政の危機感も増す。旅館業法施行条例改正へ

今年になってからというもの、国もこのような現状に対して何もしていなかった訳ではなく、状況の改善に乗り出していることは厚労省からの通達からもわかります。

厚生労働省は、令和8 年1 月20 日には「旅館業における衛生等管理要領の一部改正について」を発出(通達文書

このような国の動きと並行して近隣住民や事業者からの目黒区行政への相談件数は増す一方。他区が規制強化する中で、目黒区がこのまま対応しなければ、規制が緩い自治体に旅館ホテル事業者が流入する「規制アービトラージ」への対抗は待ったなし。

そして、ついに目黒区でも周囲地域の生活環境への悪影響を防止するために一定の規制を条例等で規定する動きが大きく加速したのです。(行政には白川(議員)からの追及があったから、メディアで数々取り上げられたからという理由で動いたなどとは決して認められないカルチャーがある)

国も、地域の実情を踏まえた適切な対応を行えるように、旅館業法に基づく条例及び規則を速やかに改正し、旅館業の適正な運営及び周辺住民の良好な生活環境の確保を図るように自治体に求めています。目黒区行政はこのような経緯、経過を経て2月25日の委員会では、旅館業法施行条例を改正する意向を示しました。

許可申請前に周辺住民を対象とした事前周知を義務化する。
●施設の看板に営業者の連絡先等の明示を義務化する。
●周辺生活環境への配慮に関する、宿泊者への事前説明の実施を義務化する。
●国内に住所を有しない個人営業者に対し、代理人を選任することを義務化する。
●新たに申請される施設に対し、営業従事者の常駐を義務化する。

生活福祉委員会(令和8年2月25日)旅館業法施行条例改正の考え方

上記5つの内容を主に盛り込む方針で旅館業法施行条例改正に向けて検討が進められている事が正式に報告されました。

何がどう変わる? “事後対応型”から“事前調整型”へ

① 許可前に「周辺住民への事前周知」が義務化
▶ これまで
旅館業の許可申請にあたり、法的な事前説明義務は明確ではなかった
▶ これから
許可申請前に周辺住民への周知を義務化
営業開始前に説明責任を果たす仕組みへ
▶ 何が変わる?
「知らないうちに旅館ができていた」という状況を防ぐ
開業前に地域との摩擦を顕在化させることでトラブル抑制が期待できる
・ただし、住民同意制ではないため拒否権はない

自治体の限界
目黒区行政の前進を評価する一方で自治体の限界も

●用途地域そのものは変わらない(旅館・ホテルは第一種・二種住宅地域でも営業可能)
●旅館営業自体は禁止できない
●既存施設には遡及しない可能性が高い(運営手法などソフト面は求められても設備などのハード面は無理がある)

つまり「全面規制」ではなく「管理強化」

民泊(住宅宿泊事業)と旅館・ホテルはそもそも違うはず。そしてホテルや旅館はこれまで決して迷惑施設ではなかった。なのに、それが今では事実上の運営形態が限りなく民泊と変わらないホテルや旅館が住宅街に急増したことで住民も訳が分からなくなっているのではないか?という心配もある。

そこで少し整理しておくと
住宅宿泊事業法(民泊)は「抑制可能な特例制度」
→ 自治体が地域の実情に応じて制限することを制度的に予定している

旅館業法は「本則の営業制度」
→ 本来「宿泊業として営業する権利」を許可で認める制度
→ 全国的な営業自由を前提にしている

このような違いから、民泊は各自治体の裁量により条例で厳しく規制することはできるが、旅館業法の許可を得ている場合、旅館業法にどこまで自治体が上乗せで規制強化をできるのか?が今後の改正のカギになって来ると思われます。

旅館業法の許可施設に対しては、自治体が条例で自由に上乗せ規制できるわけではない、という基本的な考え方に照らせば、自治体も難しい選択に迫られていることは理解できます。

条例での上乗せが「無制限」ではない以上、実質的に営業を不可能にする規制(旅館業の合法的営業活動)や国の許可制度の趣旨を否定するもの、また全国一律基準を崩す過度な構造設備基準を求めるような上乗せ条例は旅館業を全面禁止することにも成りかねず、営業の自由や財産権が認められている以上、難しいでしょう。それ故、管理強化に成らざるを得ないということです。実際のところ国がどの程度まで自治体の裁量を認めるのかは未知な部分が多いと言えます。

個人的には私は、青木区長が答弁していたとおり、「玄関帳場の設置及び従業員の常駐を義務づけている区もあることは承知をしております」と同様の対応を目黒区で行う事で大概の戸建ホテルやマンションの一室ホテルは淘汰されていくと思います。

とは言え、
今はまだ“方向性”の段階。これからパブコメも予定されているので4月になったらドシドシご意見をお寄せ下さい。

条文次第では
✔ 実効性ある規制にもなる
✔ 形骸化した努力義務にもなる

と思いますので、基礎自治体の議員として、議会活動を通じて、地域事情を把握するために 営業規模や建物形態(戸建て・共同住宅の一室等)ごとの体系的な分類・集計なども所管に求めて行きたいと思います。その上で、法改正を国に求めるのか?用途地域規制を活用するのか?建築基準法との連動を図るのか?などについても区ができることと、できない事をひとつひとつ丁寧に確認していきたいと思います。

今後の予定
令和8年4月 条例改正骨子案(案)を生活福祉委員会報告
4月~5月 パブリックコメント
8月 条例改正骨子(案)を生活福祉委員会報告
9月 第3回区議会定例会に条例改正案提出
10月以降 施行

また続報をお待ちください。最後まで読んで頂いてありがとうございます。

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