今後どうなる?子供たちの水泳指導と区内の学校プール

目黒区では建て替え対象となっている向原小学校・鷹番小学校の 2 校で、令和4年度から学校外プールを活用した水泳指導を試験的に実施。その結果を踏まえた、「目黒区立小中学校におけるプール施設整備の考え方について」委員会で報告されましたので、皆様にお知らせしたいと思います。

目黒区では、区立学校における水泳指導を今後も継続していくことを基本とし、区立小学校では施設更新の際には原則、学校外プールを活用する。

〈背景〉

中学校においては水泳も体育教員による指導が行われているため大きな課題はないが、小学校では児童の泳力について個人差が大きく、水泳に関する教員の指導力にも差があり教師の負担が大きい。また、学校プールの維持管理が教員の負担になっている。水泳指導を実施する6月、7 月、9月は梅雨時期や台風シーズンと重なっていることから雨天に左右され、授業時数を確保できない。などの課題があげられていました。

〈今後の方針〉

小学校

①学校施設更新の際には、原則として学校外プールの活用を検討する。

②周辺に利用可能なプール施設がない場合や移動が困難な場合には、学校内にプールを整備する。整備に当たっては地域利用や利用期間の延長等を検討し設備の充実を図る。(ただし、屋内温水プールは新規整備しない方針)

③大規模校については、児童数の推計や敷地条件、費用対効果等を含め、設置について慎重に検討する。

※小学校に併設された地区プールは別途検討とする

中学校

①原則として、敷地内にプールを整備する。
整備に当たっては小学校と同様に地域利用や利用期間の延長等を検討し設備の充実を図る。

以上が基本的な考え方なのですが、委員会での私の質問事項など含め、いくつか補足をしたいと思います。 先ず、今後小学校プールは小学校の建替えに際して原則として民間プール(区内で利用可能なのは現在セントラルとコナミの2社の民間フィットネスクラブのプール)を利用する方針ですので基本的に小学校内にプールは作らないのですが、②の周辺に民間プールが無い場合③の大規模校についての考えのベースに、以下のコスト試算が示されました。

生徒数が700名を超える大規模校の場合はプールまでの移動費用がかさむので原則から外れ例外として学校内のプール整備も必要との考えが慎重に検討するという文言に集約されています。


移動距離の考えのベース
徒歩移動の場合は歩行時間を10分程度とした場合、学校からの道のりがおおむね600~700m以内の施設を候補として考える。700mを超える場合にはバスでの移動を検討する必要がある。

徒歩移動であれ、バス移動であれ、児童の安全が第一!!
徒歩移動の安全対策、熱中症対策。バス移動の際には、児童の置き去り等を防止するための対策などが実施に向けて十分に検討されていくことになります。

以下は民間プール利用を試験実施した2校の児童アンケート結果の一部です。

【コナミスポーツクラブで水泳授業を行った向原小学校 児童273名(回答率 96.1%)のアンケート結果】

【セントラルフィットネスクラブで水泳授業を行った鷹番小学校 児童399名(回答率 93.9%)のアンケート結果】

民間事業者によって子供たちの満足度にばらつきがでる可能性については気になったのでこの点は区側に確認しました。そもそも水泳が好き、嫌いなどもあるので、このアンケートだけでは事業者による差を直ちに判断できないが、ばらつきが出ないようにはしたいと考えているとのことでした。

どちらの小学校に通う子ども達も約7割がスイミングスクールに通ったことがあり、 保護者アンケートでは民間プールでの水泳指導についての満足度はいずれも高い傾向にありました。

少数ながら「コーチが怖い」や、「教員でないことへの不安」があるなどの意見も少数ながらありました。

現在、目黒区では全小中学校にプールを設置しています。そのうち、緑ヶ丘小学校、五本木小学校、碑小学校は屋内温水プールで、地区プールとして一般公開を行っています。しかし、小学校に併設された地区プールは別途検討とするとされており、今回の報告では具体的な今後の方針などは示されませんでした。

学校施設更新に当たってプールの共同利用や他施設(民間プール、地区プール)の利用を検討することとしているにも関わらず、この点に関して「別途検討」とされたことは不可解です。

念のため、

整備にも維持管理にも多額の経費(税金から支出)が掛かるという理由で学校にプールを整備しないという考えとは真逆の発想で、外部に委託するから費用が掛かるので、今後、区立小学校内にハイスペックなプールを整備して、民間事業者に管理運営を委託するのではく、民間事業者に貸して賃料を得る事は法的、条例から可能なのか?も確認させて頂きました。

法的には可能ではあるが、民間事業者が採算をとるのが難しいので現実的ではないと考えている事がわかりました。また区民に開放するという公共的な位置づけからも難しいとのことです。(だからこそ、地区プールの考えを同時に整理する必要性を感じるのですがね・・・)

〈白川の考え〉

教職員の成り手不足の問題からも働き方改革が必要である事には異論ありませんが、その問題はプール指導に関わらず、国全体として予算面から含め議論されたい課題であると捉えています。そしてまた、区内中学校の統廃合が進められている傍らで、目黒区内の小学校は22校全てを今後も維持していくのか?一部は小中一貫校として再編することで教育効果を高めるなども施設更新に際してどこまで考えられてきたのか?せめてその検討の痕跡だけでもこういう機会に示して欲しいと思うのです。

最期に、常に民間企業は営利を目的として一定の計画に従って経済活動を行う経済主体であるという事を忘れてはいけません。民間企業にとって計画変更や、採算が合わなければ撤退するのは当然の選択です。官民連携の名のもとにあまりにも民間企業に頼り過ぎる自治体運営に陥らぬように自治体もリスクヘッジをすること、バックアッププランを常に用意しておくことなどバランスを取る事が肝心だと考えます。

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