先月、岸田首相が自らの給与引き上げ法案を国会に提出。自民、公明、国民民主の3党の賛成多数で可決さました。それに連動して国会議員のボーナスも上がることに多くの国民から批判の声が上がったことは皆様の記憶に新しいところでしょう。しかし、これは国に限ったことではありません。各地方議会でも同様の動きがあることが見て取れます。目黒区においても令和5年度第4回定例会に青木区長が自らの期末手当と月額報酬UPを求める条例改正案を提出。国の動きと同様にこの条例改正によって区長や区議会議員などの特別職の報酬も期末手当も増額されます。
この条例改正案に対する各議員の賛否
賛成24名
自民党9、公明党5、未来7(国民民主、都民ファースト、元自民などの無所属議員で構成)れいわ1と区長の息子1
反対12名
白川1、共産党4、立憲民主4、維新2、生活者ネット1
お給料がほとんど上がらないのに、税金も保険料も物価も上がり、多くの区民が生活に苦しんでいる中、政治家の報酬だけが上がっていく。このしわ寄せは次世代へのツケとして残っていくことでしょう。
今回も賛成する議員が目黒区議会の大半を占めていたことに驚きを禁じえません。
私は、今の社会情勢の中での議員や区長等の特別職の報酬を増額する事に全く賛同できません。今回もまた反対の姿勢を示しましたが、相変わらず目黒区議会では自らの報酬UPに反対する議員は少数派です。
自らの報酬UPに反対する議員は少数派
納税する側の区民が物価高で喘いでいる最中に、集めた税が原資の報酬をもらう側の政治家がしっかりとした議論もないまま、区長の提案通りに自らの報酬を上げる事に賛成し続けてて良いのでしょうか?
今回の特別職の報酬UPは一般職公務員の給与動向に連動させてのことですが、そもそも一般職の公務員と特別職ではその働き方も採用方法も全く違うのになぜ連動させる必要があるのでしょうか?
一般職員の給与は民間企業との格差是正や地方公務員法の均衡の原則の適応など、特別区の人事委員会が国に準拠して(人事院勧告に従って)23区で統一して職員給与を見直していくということは理解できます。
しかし、一般職の賃上げに特別職まで連動する必要があるとは思えない
区長や議員は選挙で選ばれ、議員については副業・兼業が認められている点も一般職の公務員とは大きく異なっています。
他の議員から、「議員は霞を食べて生きてる訳じゃない。あまりに低い議員報酬では優秀な人材が議員になろうと思わない。地方議員の成り手が不足する」という意見が出されましたが、そもそも私は目黒区議会議員の報酬は現況でも決して低くは無いと考えています。(成果報酬型で働いていない)
【今回の条例改正でどうなる?】
【期末手当(ボーナス)はどうなる?】
区長: 現行3.50月 ⇒ 3.60月にUP ⇒ 年額 ¥6,436,872
議長: 現行3.45月 ⇒ 3.55月にUP ⇒ 年額 ¥4,658,488
議員: 現行3.45月 ⇒ 3.55月にUP ⇒ 年額 ¥3,078,305
今回の改正により、区長の年収は約24万円のUP。議長は約18万円のUP。議員は約12万円のUPとなります。
目黒区は大手企業にお勤めの方や個人経営者の方々も多く全国的平均を上回る高年収の方々が居住している地域ではありますが、目黒区民の年収を平均で見ると653万円とのことです。因みに目黒区職員の平均年収は649万円です。
出典:「目黒区の給与・定員管理について」(目黒区)「平成27年国勢調査」(総務省統計局)「平成30年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)「行政区分地図データ2020」(株式会社ゼンリン)
地域手当20%(区長)費用弁償1日2000円(議員)も未だ廃止されず
区長にはこの他、地域手当20%の支給(23区では地域手当を既に廃止した区も多いのに目黒区は未だにこの問題に着手せず放置)や、4年毎に支払われる退職金約2,000万円についても一切の見直しは行われてきていません。
議員にも政務活動費の支給があること、また費用弁償(交通費名目で議会に出席する度に支給される1日2,000円)も他区では廃止されるなか、未だ目黒区では支払われ続けている等を考慮すると、やはり目黒区議会議員の報酬は増額せずに現行のまま据え置くことで何ら問題ないと考えます。
(私は2019年初当選以来、費用弁償に関しては強く廃止を求めています。引き続きこの件は廃止に向けた活動を続けてまいります。)
https://aishirakawa.tokyo/blog/5869
過疎化が進む地域や兼業しなければ生活が成り立たない議員報酬でやりくりしている地方の議員とは状況も全く異なり、4年毎に行われる区議会議員選挙では定数36名に対して50人程度の立候補者がいる目黒区では成り手不足に悩む事もないでしょうから事情が違うと思います。そもそも議員になるモチベーションは報酬ではないはず。
自ら考え、自ら判断し、自らの言葉で区民に説明を!!
かたや、改正条例の提出者である当の区長はどう考えているかと言えば。
これまた毎度お馴染みの「特別職報酬審議会の答申を尊重する」の一点張り。
区長
御審議がされて、こういった答申が出て、それをぜひ尊重しろということでございますので、私は尊重させていただいたということでございます。
(中略)
そういうように客観的な結論を重視していくという、そういう立ち位置でございます。
(中略)
少なくとも報酬審はぜひ尊重してくれと言っています。やっぱりそれは特に様々な各界各層を代表する方々から出ています。
やはり各界各層を代表する中で御意見をいただくということが、やはり一番区民の声に近いと言わざるを得ないと私は認識しております。
そういった中で、しっかりと答申を尊重してほしいといったことは、やはり重く受け止めていると、まさに私はそれが区民の声をしっかり受け止めるという、白川委員の声も区民の声かもしれませんが、やはりきちんとオーソライズされた公共的な団体の声にしっかり耳を傾け、なおかつその方々が自分たちが出した答申はしっかり尊重しなさいと言ったことは、これは重く受け止めるべきだというふうに思っております。
いくら区長に区長自身の判断根拠と自らの報酬増額の妥当性について区長の考えを問うても暖簾に腕押し。
さらに、区長は公的な団体の方しか見てないのか?という印象すら受ける結果になりました。
あ~。思い出されるの。2019年の議会での区長とのバトル・・・
「自らの報酬UP案に反対されてヤジる区長」
https://aishirakawa.tokyo/blog/4744
目黒区特別職報酬等審議会とは何なのか?
この時のヤジの内容から、目黒区では特別職報酬を報酬審議会で決めると区長が信じていたということがわかったのであった。
区長の言う審議会というのは自分の報酬を決めるために違法性がないよう区長が実行する手続きであり、提案内容は東京都人事委員会の勧告を基礎にする。それを区長自身が「上げてもいい?」と諮問する。それを確認しているだけの審議会には金額決定権は無論ない。
あくまで決定権者は議案提出の区長で、勧告にも基づかず諮問したのなら、それこそ「自分の報酬をあげるために提案した」だけでしょう。ということになる。
4年経っても区長の認識には何の変化も無く、そうまで区長が尊重しなければならないと考える審議会とはいったい何なのか?
目黒区のHPの説明によると
目黒区特別職報酬等審議会は、区長の諮問を受けて区議会議員の議員報酬の額や区長、副区長及び教育長の給料の額について審議する、区長の付属機関です。
この審議会は、区内の公共的団体等の代表者、区民のうちから区長が委嘱する委員で構成され、委員の任期は2年間です。
審議会は、区内の公共的団体等の代表者、区民のうちからとされているにも関わらず、未だ目黒区では公募で選ばれた一般区民は1人も入っておらず、未だかつて公募などしたこともないのです。
更に興味深い事に目黒区の決算報告書に記載されている数字を基にこれら団体等への補助金額を合計すると4億4千万円を超えている事がわかります。
客観性を担保したいと区長が本気で考えているのであれば、まったくしがらみのない一般の区民を公募でこの審議会に入れるぐらいの事は最低限して頂きたいと私は思います。
私、白川は更なる区政の公平性、客観性、透明性を担保するため、審議会委員としての公募による一般区民の参加を認めるよう目黒区に対して今後も要望してまいる所存です。