権力側から不当な制限を受けやすい「表現の自由」

本日、目黒区議会では賛成多数により「政治活動用ポスターの自粛に関する決議」が可決致しました。

私は「表現の自由」というものが、最も権力によって傷つけられやすい性質の自由であり、また精神的、知的な存在である人間の尊厳そのものにかかわる人権のなかでも一番不当な制限を受けやすいものだと考える者の一人です。

私がこの議案に賛成しかねた理由として、一番に重視したことは、議案の内容が、権力、既得権者にとって都合の悪い表現行為、政治活動を抑圧することに繋がり得るのではないか?ということに大きな懸念を抱いたからでした。

それと同時に、立候補を予定する者に対しても自粛を期待するという文言が付されていることによって、新規参入者の政治活動を抑圧し、新規参入を妨げ、新たな政治参加を阻み抑圧することになりかねないとの懸念を抱いたからでもあります。

更に、この決議の内容を、現職の目黒区議会議員で構成される目黒区議会で議決するということが「優越的地位」の乱用との関係ではどのように整理され理解され、今日の提案に至ったのか? その説明が提案者からも十分になされなかった点にもあります。


言論及び政治活動の自由は、公正な社会生活を確立する上で最も重要な基本的権利 のはず・・・

表現の自由が制限されている場合、一見もっともらしい理由(この場合は街の景観や美化)がつけられていても実は権力にとって都合の悪い表現行為を抑圧することが目的であるという場合は少なくはありません。

街の美観推進に積極的に取り組んでいる姿勢を示すことが目的なのであれば、この議案の提出者となっている現職の区議会議員は自らが所属する政党の候補者の政治活動のために大量のポスターを抱えて政党支援者の自宅を訪問し政治活動用ポスターの掲示を依頼して、回るのは何故なのでしょうか?
私はそのような場面に何度も私は出くわしています。

また我が家でも、私はどの国政政党にも所属はしておりませんが、私の自由な意思に基づいて国政政党所属議員の政治活動用ポスターの掲示を快諾させて頂くこともございます。

それは、それぞれの人が自由に自分の考えや政治的意見を伝えるということによってはじめて、各人もそして社会全体としても、正しい結論に到達することができると考えるからであり、街頭での演説や討論会、演説場所、開催日時を広く告知するために用いる手段としてのポスターの掲示の機会を提供しているに過ぎません。
ポスター類を含む政治家の広報物は、区民の知る権利に奉仕するためのものです。

そのような政治活動に協力できないと考えればお断りすることも個人の自由な意思によりできます。

民主主義の基礎として表現の自由、政治信条の自由は絶対不可欠であり、国民主権原理に立つ政治的民主主義にとって、主権者である国民が自由に意見を表明し討論することによって政策決定を行っていくことが、その本質的要素であります。

この民主政治にとって不可欠な自由な意見表明と討論を保障するものとして、表現の自由はとても重要な意義をもつという事は現代社会においては共通認識として疑いの余地はないものと考えます。

こうした観点からいえば、とりわけ「政治的な」言論が自由に交わされることこそが、憲法における表現の自由の保障の中核をなすものとして位置づけられなければならないこととなるはずです。「政治活動の自由」は憲法で認められた国民すべての権利、表現の自由よりある意味重いと考えることもできます。

そのことを深く理解している目黒区議会の議員だからこそ7月には全会派一致で
街頭で演説中の安倍晋三元総理大臣が銃撃され、尊い命を奪われたことを受け、心から哀悼の意を表すると共に、「民主主義の根幹たる選挙が行われている真っただ中での卑劣な蛮行を断じて許さず、言論及び政治活動の自由は、公正な社会生活を確立する上で最も重要な基本的権利であり、これを暴力により封殺することはできない。」とする決議に至ったのだと理解しています。


「表現の自由」がないところでは、国や社会が間違った方向に進んでいっても、それを止める手立てがなくなってしまう。


最後になりますが、目黒区議会の三分の二の賛成を得て議決した内容ではありますが、この議決には何ら法的拘束力はありません。

【各会派の賛否態度】

賛成:自民、公明、N国、都民ファ、新風めぐろ(国民系)

反対:共産党、維新、フォーラムめぐろ(立憲系)、無会派の白川

1名欠席、1名退席

決議した党派は自党の衆参議院議員のポスターや都議のポスターも貼らないという覚悟があるのかを問いかけたいところですね。自分の政党の上層部から言われたら破る程度の「環境美化への覚悟」なら、それはただの建前よりも空しいとすら感じます。

この目黒区議会での決議を根拠に区民の方に下記のようなチラシが配布されているとのことです。このチラシを見た区民の方が区議会での決議には法的拘束力があると誤解をし、政治活動用のポスターを無断で剥がす、または破るなどの行為を良かれと思って行ったという事がありました。

そうした行為を行った区民の方は、区議会の決議に従っていない近隣住民は違法な行為に加担していると思い、良心からポスターを剥がし、その理由をポスター掲示に許可を与えた家主に諭すなどの事例も実際に発生しています。

無断で政治活動用のポスターを剥がす、破るなどの棄損行為を行うと刑法第261条、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。「器物損壊罪」という犯罪にあたります。

また、ポスターを無断で持ち去れば窃盗罪、剥がして放置すれば廃棄物処理法違反になります。

掲示の許可を得て政治活動のために演説会告知ポスターが貼られているのを見かけてもそのような行為に及ばないようにくれぐれもご注意下さい。

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