800万で貝殻拾い

自由を守る会の白川愛です。目黒区議会の一員として区政一般に関して4点にわたり質問をいたします。

私も目黒区議会の一員として半年間にわたり行政施設の視察を行わせて頂きました。その結果、区民に対しての施策を立てる上では効率的な予算運用が必要であると実感を致しました。

行政資産はできうるかぎり最大の効率で運用されるべきです。そこで生まれた新たな予算を必要な施策にしっかりと使っていく。行政資産として存在しているならば、塩漬けにすることなく、また無駄な支出を生むようなことのないようにしなければなりません。

そこにあるものを消費する、税金として入ってきたものを利用する、このような受け身の姿勢ではなく、存在する行政資産を投資として活用していく姿勢こそ、子供たちに受け継がれ、それこそが未来への投資であると考えます。そのような経営視点での意識も新たに1問めの質問に移らせて頂きます。

(1)外部委託の内製化に向けた制度設計についてお伺いいたします。
まず第一に、必要度の低い安易な外部委託は行政内で処理する必要があると考えます。安易な外部委託の結果、その責任までも外部に押し付けようとしている事例が見受けられます。そういったものについて、私は先の決算特別委員会でもいくつか指摘を致しました。また、民間事業者の都合で予算が消費されるような事例もいくつかご指摘しましたので、皆様のご記憶にも新しいかと思います。

私も経営者の一人として経営視点で考えた時、余剰人員が時期によって生まれてしまう状況はとても「もったいない」と考えます。とくに区職員のように公共の福祉のために就業している方々には、よりいっそう「やりがい」を感じてもらいたいと願わずにはいられません。閑散期に時間を消費するための作業をさせられているのでは、職員の皆様にも、そしてまた、それを見る区民の方々に対しても申し訳ないと感じます。

ですから行政機関内での委託、いわゆるワークシェアを進めるため、各所管の情報を把握して適切に業務を振り分けられるような仕組みを考えるべきと思いますがいかがでしょうか。その第一歩として、部署において手が足りないために外部委託をしている事務事業を、当該所管以外でも対応できる、手伝いが入りやすい環境を作ることが必要だと考えます。

それには先ず「外部委託の必要度」を明確にすることから始めるべきだと思います。行政機関の担う役割が複雑化しつつある現代だからこそ、日常的に所管外でも扱える作業をクラウド作業やテレワークにより共有できる行政運用で、より一層の内製化を進めるべきではないでしょうか。区長の見解をお伺い致します。

次に(2)人材配置の効率化と事務作業の平準化についてお伺い致します。
先程(1)で申し上げたA所管の繁忙期に外部委託している事項から、本来忙しくなければ外部委託しなくても済む事項を整理する。それには1つのデータベースが必要になります。再三にわたり申し上げておりますように、データベースは放っておいて整理されるものではありません。多くの情報を蓄積して、把握し、管理することではじめて生まれます。

そういった状況について常に把握している「行政機関内でのワークシェアリング」を推進する部署をつくるべきではないでしょうか。国における働き方改革でもワークシェアの重要性は説かれています。今後は公務員においても民間同様に定年時期が延びる可能性が高いことから「雇用人材を最大限活用する」ことは重要な課題となります。

行政が持つ目に見えにくい資産は「人材」と「情報」です。そのうちの「人材という行政資産」を最大限活用するための改革を進める方策について質問と提案をさせて頂きたく、(1)で申し上げたように日常的に所管外でも扱える作業をクラウド作業やテレワークにより共有して振り分ける部署をつくることです。それは他の自治体にある住民向けの「すぐやる課」を、行政内部における割り振りで「行政機関内の人材派遣と委託先選定」を行なうものになります。ボランティア要請に対してボランティアをマッチングさせる社会福祉協議会の作業にも似ています。

行政内部での人員配置として「必要な場所、必要な時期に必要な人数」が配置されるためには、それを差配する部署が必要になってまいります。こういった「行政の資産である人材を最大限活用する」ために新たな行政運用に向けた準備と施策を進めるべきと考えますがいかがでしょうか。

3番目に(3)ジョブローテーションの適正化についてお伺いいたします。
行政機関の仕事は非常に大きく分けると2種類からなります。ひとつは区民に直接対応する仕事。そして、もうひとつは行政運用に関する事務になります。区民に直接対応する仕事はコミュニケーション重視の業務となり、行政機関の顔ともなる仕事です。ですから各所管それぞれ窓口対応業務に関する研修を含めて多くの力を注いでいます。民間で言えばカスタマーサービス等、お客様に直接対応する部分です。この部分の評判はそのまま行政に対する評価につながります。昔から「お役所仕事」と言われる時は常に、窓口対応で決まり文句の対応をしたり、たらい回しにするという行為が原因になっています。

カスタマーサービスは一見、誰にでもできるように感じられがちですが、実は情報を知っている人にしかできないものです。とくにセンシティブな情報を扱う部分では、それぞれが対応した区民に対する情報を把握しているスペシャリストであることが大切になります。

例えば子育てや高齢者に関する部分では日常的なコミュニケーションを積み重ねたことで培われる経験と、区民側から見ても「その担当者だから話すよというような信頼関係」が存在していることは、ここにいる皆様もご存知のことと思います。

対して目黒区はジョブローテーションという仕組みを取り入れています。もちろん他のいろいろな部署を経験してもらう、ゼネラリストを育てることも「行政運用の事務」という視点ではとても大切です。自分の部署しか知らないと、どこで誰が何をすればできることなのか把握していないということにもなります。

初めに申し上げた「行政機関における2種類の仕事」である「行政運用の事務」はゼネラリストが求められ、「区民に直接対応する仕事」にはスペシャリストが求められるのです。この事実を認識した上で、ジョブローテーションというもののあり方について考え直すべきではないでしょうか。

私の知る実例は所管委員会なので細かくは申し上げませんが、ある区外施設では民間企業ならば窓際での自主退職を遠回しに要請していると捉えられるレベルで「何もさせてもらえないに等しい仕事」を長年に渡りさせられている専門職の方がおられます。これは、まさしく人材と言う行政資産を浪費している一例であります。1つこういう事例があると、他にもこういった事例があるのではないかと疑わしくもなります。人事運用の本来視点に立ち返り、ジョブローテーションの運用に関する考え方と、スペシャリスト育成の考え方について再検討を行うべきと考えますがいかがでしょうか。

そして最後に
(4)外部委託後の管理監督についてお伺い致します。
専門的な作業や、継続運用する上で専門家が必要な行政サービスでは、外部委託や指定管理者の運用にすべきものはたくさんあります。ですから全ての外部委託をやめて行政職員を増やすなどをすべきとは思ってはおりません。しかし私が知る範囲で問題なのは、「なげっぱなし」であることです。外部委託先のPDCAサイクルをしっかりと監視していない。また、その事業は当分続くのに、来年度以降の事業継続についての安全確保が足りていない等、委託先が外部委託を受けなくなる可能性を検討していないように見受けられる事例が散見されます。

行政機関が有り余る税金を投下していた時代には、入札を行えばいろいろな企業が参入してきたことでしょう。しかし今の時代、行政もギリギリの予算を計算して入札を募集します。すると何度も入札させても落札されない場合まで生まれており、それが専門的な業務で、毎年入札すべきでない案件もあります。

で、あるならば常に、委託している民間事業者とは情報共有を行わなければなりません。しっかりとしたPDCAサイクルが回っているのかを確認しなければなりません。現時点、全ての委託についてこういったことができているようには残念ながら見受けられません。この点に関しては決算でもいくつかご指摘させていただき、理事者の方からもできていないことについてご答弁いただいております。

この原因は「行政機関はずっと仕事をするのが当然」という自分たちの常識を、民間企業にも求め、「ずっと同じように受け入れるはず」と考える「甘え」が原因ではないでしょうか。民間企業は営業における利益が死活問題です。採算の取れない事業からは撤退します。目黒区行政では「委託したから所管の仕事は終わり」と考えてしまうことが常態化しているのではないでしょうか。

最近確認した外部委託先が更に外部に発注していた英語翻訳業務などで呑川(のみがわ)をカガワと誤訳された防災行動マニュアル(英語版)が行政資料として公開されてしまう事態が発生しております。いかになんでも、これでは話にならないのではないでしょうか。税金で委託するからには外部委託先や指定管理者の都合で、区民の権利が侵害されたり阻害されたりしていないか、これらを明確に把握すること、しっかりした管理監督業務も目黒区行政の仕事ではないでしょうか。

目黒区は全体的に「今まで通り動かしていればいい」という、富裕な自治体特有の甘えがあるように感じられます。確かに23区の中では税収的にも良い方であり、またそのために特別区財政調整における予算でもらう額も多くはありません。甘えた予算運用をただし、しっかりと未来に向けての投資を考える。予算、人材、施設、土地そういった行政資産を消費する事業はすべて、私たちの子供たち、孫たちに向けた「未来への投資」になるよう努力を惜しんではなりません。

しっかりと運用をしていることが把握できる行政資産活用、そして行政労働力活用を進めなければいくら税収があっても足りません。外部委託や指定管理者活用を丸投げではない、明確な「未来への投資」にする視点で運用していただきたいと思います。

4点めの質問ではまさにこの「未来への投資」への姿勢を踏まえた上で、区長のお考えをお答えいただきたいので、その点どうぞよろしくお願いいたします。

以上で私の壇上からの質問を終わります。

【誤翻訳マニュアル】

呑川のみがわが何故だか英語ではKAGAWA

なぜ、「800万で貝殻拾い」などというタイトルのブログを書くことになったか。

それは私が所属する文教・こども委員会で千葉県勝浦市にある目黒区の区外施設『興津自然学園』に10月に視察に行ったのが事の発端。

この区外施設は「目黒区立学校の児童及び生徒の豊かな自然環境を生かした体験活動の充実、健康増進、学習意欲の向上等を図るための施設として、平成22年8月4日に開園。主に区立小学校4年生、6年生の自然宿泊体験教室に活用されています。」
この施設の在り方に関して今はとやかく言うつもりはありませんが、将来的には利用率や施設の維持管理費用等を踏まえて施設自体の在り方も考えていかなければならない時がいずれは来るとは思っています。

今回はひとまずそこは置いておいて、ここで働いている常勤の区の職員さん2名の仕事の内容とそのボリュームについて考えてみたいと思います。

そもそもこの施設年間を通して子どもたちが利用しているわけでは無く、興津、八ヶ岳と2か所ある区有施設を学年に応じて利用しており、興津に関して言えば、4月~11月は学校利用時。12月~3月は学校利用時以外。となっています。

ここで皆さんも気になりませんか?この子どもたちも誰も利用しない4カ月間の間も当然のことながら職員の方2名は常駐して勤務しておられるわけで、いったいその間何をしているんだろう?という素朴な疑問が湧いてきませんか?
視察中にもその点に関して質問させて頂き、その後資料の提供などを通して見えてきた課題が正にこのタイトルにある「800万で貝殻拾い」なのです。

子どもたちが滞在中に行うワークショップ(プログラム)で使用する貝殻やビーチグラス、木の実等の採集を閑散期にメインにしておられるとのこと・・・
もちろんこれだけでは無くその他にも業者対応や消耗品の在庫管理など施設の管理に必要な事務もこなしておられるようですが、それにしてもプログラム自体も外部委託をしている指導者が行い施設の管理自体も外部委託先が行っているわけで、子どもたちが施設を利用している時ですら職員さんは泊まり込むことも無く、引率をする学校教師たちが生徒に付き添っています。

ここでとある職員さんの12月~3月の一日の勤務状況を見てみたいと思います。

8:30 出勤
打ち合わせ/契約事務(消耗品の購入など)/業者対応(工事・委託業者など)

12:00 休憩

13:00 契約事務(消耗品の購入など)/ 貝がら・ビーチグラス・木の実などの採取/業者対応(工事・委託業者など)/ 次年度契約準備

17:15 退勤

う~ん。う~ん。もやはため息しか出てきませんが・・・

人事の事に口を出すのは本意ではありませんが、これではこの職員さんのキャリアアップはどうなるのでしょうか?私が自社でこの職員さんを仮に採用していると仮定してみましょう。どうでしょうか?

この内容のお仕事で年収800万円は到底弊社では支払えません。おまけに2名も。
民間企業と役所ではそもそも人材活用という点では大きく違っているとしてもですよね。果たしてこの職員さん2名は本当にその能力を最大限発揮できているのでしょうか?

目黒区では所属委員会所管の事項は本会議では質問してはならないという暗黙のルール(どこにもそんなことは明記はされてませんが・・・)が存在しているということで、予め所属委員会の委員長にご相談し議事進行がかけられることにも配慮して本会議では本文の内容のように少々回りくどい質問となりました。

要するに白川は何が言いたのか。
「もっと人材活用しようよ!!」「職員さんのスキルアップも目指そうよ!!」「この状況もったいなくないの?!」です。

このような経緯があったことを踏まえて私の質問を確認して頂けると少しはわかりやすくなるかと思いブログを書くことにしました。

再質問は区長答弁含め1分少々しか残り時間が無かったので
「ジョブローテーションやキャリアアップ含めた職員の人材活用のプランは、本庁舎に勤務している職員以外、例えば区外施設に勤務している職員さんにも含まれるのか?」という内容を伺い、区長からも「同様である」という答弁を頂いていますから、今後は閑散期の施設の全面休園や人員配置、業務の振り分けやスキルアッププランなども区外施設であっても誰一人として職員さんが取り残される様な事態は起こらないであろうと期待しています。

子どもたちが作る製作物(見本)
大量の貝殻ストック

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