区長の当選ありがとうキャンペーン!!

目黒区では19億4千万円余の増額補正となる
通称「区長の当選ありがとうキャンペーン!!」(区民の声)が可決!!

私は、令和2年目黒区一般会計補正予算(第2号)に関して、内容そのものは否定しなければならないほど悪いものではないことから賛成させて頂きました。

賛成したのには当然ながらそれなりの理由と経緯があるわけで、今回は委員会での私の質問内容を振り返りつつその辺りについて意見や考えをまとめさせて頂きます。

〈企画総務委員会委員として補正予算(第2号)を審議して思ったこと。〉

下記は補正予算の概要が示されたプレスリリースから。全文はこちら↓
https://www.city.meguro.tokyo.jp/gyosei/zaisei/yosan/gaiyo02.files/R02yosan_hosei02.pdf

この中で私が特に着目したのは
5億3千万円の区の一般財源を投じて行う「めぐろ地元のお店応援券(仮称)」の発行についてです。質疑でも多くの時間をこの事業関連の質問に費やしています。

新型コロナウイルスの影響により売り上げが減少している地元商店街加盟店(飲食店、小売店、サービス業など)事業者の売上を確保し、区内商店街事業者の事業継続支援を目的としている。このこと自体には全く問題はなく私の区内の事業者の一人としてその取り組み自体を否定するものではありません。しかし、プレミアム率の高い商品券を紙に刷って流通させるという、その手法が本当に区内商店街事業者の事業継続に資するのかを問題視。

券面金額5億でプレミアム率50%ということは15億円を区内に流通させることを目的としていると思うのですが、個人的には5億円の区民の血税を投じるにはこの事業自体で得られる個人消費の押上げ効果について疑問を抱かざるを得ません。

プレミアム商品券の発行が「新規消費額の喚起には至らない」ことが様々な過去の検証で明らかになっている今、様々な研究成果があり、内閣府もその効果について疑問視している中で、今回のように「プレミアム率50%」としたことの経緯もわかりませんし、換金や転売の危険を検討した形跡もありません。こういった点に強い疑問が残ります。

更に今回の目黒区の制度設計ではプレミアム率を低く設定することによる消費量拡大を狙ったものなのか?高く設定することでより多くに追加現金が必要となる高額商品を売ることを狙ったものなかはっきりしません。
使える店舗は区内の商店街。特に飲食店などで利用するイメージを持っているようですがこういう消費刺激策って一度やっただけではほとんど効果は現れず継続的に実施していく事が効果を拡大するポイントになると思います。

その様な疑問が残りましたので以下質問をさせて頂きました。

プレミアム商品券に関しては、必要な商品の購入時期を前倒す「先食い」もあるため、実際の経済効果はさらに小さくなる可能性、そして、消費の押し上げ効果は限定的なのではないか? 

全国的に行った過去の刺激策と比べても、事業規模の小さい今回のプレミアム付商品券には大幅な消費押上げ効果は期待できないと考えますが、前回までに実施済みの類似政策と比較してのその経済効果中でも個人消費押上げ効果に関して今回はどれぐらいと見込んでいるのか?

また、多くの疑問が残ったプレミアム率については、「地域消費喚起・生活支援型交付金事業における効果検証に関する報告書」というものが内閣府地方創生推進課によって2017年に発表されています。

この中では日本全国ほぼすべてとなる1750の自治体が、地元消費喚起及び地元経済活性化を目的としてプレミアム付き商品券事業を実施した記録があります。それらの結果を踏まえ、内閣府からはプレミアム率について「40%を超えるプレミアム率については自粛するよう要請」が行われていたことは把握していたのか?

某国立大学の論文に「プレミアム付商品券の経済効果に関する考察」というものがあります。これによるとプレミアム率について新規消費喚起額としてみると、消費喚起効果は1015%で最大となり、1520%でもこのプレミアム率と効果は変わらない。さらにプレミアム率が高まるにつれて効果は下がり、40%以上になるとなくなる可能性が強いとの分析がなされていますがこの様な過去の施策の効果検証を実施してなお目黒区では50%のプレミア率に設定したのか?

目黒区でもプレミアム共通商品券の問題点について以前も他の議員などからも多数の疑問と危険性が指摘されています。最近のもので換金される危険を指摘されたものには「注視していく」という答弁がありましたが、どういった検証がなされたのか、注視した結果なにがあったのか、そういったものが議会に報告された形跡もありませんので、この際ですから「注視して何を見つけた結果、このような結論に至った」のかを明示していただきたい。

区側の認識:いずれも事業規模の30%程度の経済効果があったと推計されている事実は区としても認識しており、今回はそれ以上は効果があるのではないかと予測している。

経済効果や個人消費の押上げ効果が限定的であり、新規の消費喚起額もさほど期待できないということはわかってはいるが、商店街連合会からの強い要望もあり実施することとした。ということでした。

私は、こういう消費刺激策って一度やっただけではほとんど効果なんて現れず、継続的な消費刺激へと繋がることが効果を拡大するポイントになると思うんですよね。

せっかく5億もの税金を投入して行う事業なんだから地元商店街の事業継続を支えていく意味でも紙の商品券刷って配って終わりじゃなくって(事務費で3800万円使うなら)商店街への整備が進んでいないカード決済インフラなど、この際だから同時に補助事業として進めて電子マネー方式のプレミアム付き商品券を発行してはどうなのかなと。

それによって正確な消費額のデータを収集することができれば、プレミアム付商品券事業が実施されていない期間の商店街での消費に関するデータも収集できるようになるし実施期間の消費状況との比較もできるし。

そういうことまでできる、やってくれる商店街だったら商店街に加盟するメリットも生まれるし、若い世代の商店街への加盟促進ににも繋がるのではないかと私は思います。

中長期的な視点から、こういうデータの活用が地域の消費の活性化、地域経済の活性化につながるのではないでしょうか。

賛成はしたものの・・・

実は、今回の補正予算内容について、私は区民から「区長の当選ありがとうキャンペーン」と揶揄されているのを耳にしました。私も流石にひどい言い方があるものだと感じましたが、そう言いたくなる区民の気持ちも理解できます。

この2号補正予算の内容そのものは否定しなければならないほど悪いものではありません。しかしプレス発表されている資料の記載があまりに独善的で、また実質に則していないことから、こういう声が上がるのではないかと拝察します。

直近の選挙で青木区長は「目黒を守るにYES、目黒を壊すにNO」と主張しており、今回のプレスリリースでは「NO 3密、YES 3S !」としています。こういったところの類似がまず「区長」をイメージさせており、さらにそこから独善的といえる表現が批判の的になっているのではないでしょうか?

例えば「学生支援プログラム」では「がんばれ!バイト学生」とありますが、中身を見ればどう見ても施設事業者支援です。今回のクラスター感染が目黒区の高齢者施設で発生したこともあり人材確保が難しくなった背景でもあるのだろうか、と感じます。明らかに施設が人材を募集するのに通常では確保できないことから、その人材確保のために追加費用を発生させていると読み取れます。確かにこれぐらいの金額を目黒区が補助すれば、その補助金1200円はバイト学生に補助されることでしょう。

しかし事業者が通常の時給より1200円上乗せするわけがありません。ですから事業者の人件費負担額の補助にしか見えません。もし全額をバイト学生に上乗せするなら、通常時から働いている現場職員からの不満がたまるだけなので、そういうことは起きません。

つまりこの補助金の目的は「がんばれ! 目黒特養」であり「学生に支援してもらうプログラム」ということになります。これは看板に偽りありといえるでしょう。

「家庭学習支援」とされている図書カードの配布についても、学習に間違いなく使われるという可能性が非常に低く、だいたい区立以外の学校に通う児童には一つの支援も必要はないという姿勢はいかがなものでしょうか。区立にかぎらず学校は政府の指導により休校になっていました。つまり私立であっても同じように休校でした。そういう児童は補助する必要はない、家庭学習を支援する必要はない、ということになります。

その図書カード自体が「何に使われるかわからない」ものであることを、行政の皆様は理解していなかったのではないだろうかと感じられます。実際今からでも保護者向けの配布に変更し、図書カードNEXTなどのメールで配布できるネットギフトを活用した方が、実際に「家庭学習支援」を目的とするなら正しく使われる可能性を高めると考えます。

(これに関しては目黒区教育委員会はメール配布はしない!!ときっぱり否定w)

「目黒区ひとり親家庭等生活応援給付金」については委員会でも多くの質疑をいたしましたが、国による補正予算で用意されている制度より狭い範囲で、実際に国の制度でも受け取ることができない「DVを避けるためシェルターにいる実質一人親」「離婚調停中でひとり親家庭になっていない、あるいは新型コロナによってなったばかりの家庭」があります。これらは国の制度では支給される可能性が高いですが、目黒区の制度では除外されています。

さらに、児童扶養手当受給の一部支給要件に子ども2名は「年収268万円に満たない」ことが要件にありますが、この新型コロナウイルスによって「非正規雇用のご夫婦の場合などでは年収268万円に満たない世帯」などもあります。これは国の制度では埋められない穴となる部分です。

私、白川愛はこういった国の制度で救済しきれていない穴となる方々に対して、きめ細かく対応するのが目黒区という基礎的自治体の役割と考えています。

今後のさらなる目黒区行政における「制度設計が区民全体の不公平感を感じさせない」ような制度設計を期待し、「区長当選ありがとうキャンペーン」などと言われないようになっていただきたいと強く願います。こういった批判を重く受け止め、さらにきめ細かい対応をする補正予算を3号以降で検討していると信じ、賛成とさせていただきました。

6月30日の定例会閉会日まで引き続き頑張ります!!

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