まだまだ定例会は続いていますが、9月8日の一般質問を終えて。
翌日から読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞と各紙一斉にこの日の私の一般質問の内容を大きく取り上げています。それほどまでに関心度が高い背景には、事実を公表する事で更なる被害者を生み出すことを防ぎたい。というマスコミ関係者の方々の強い思いを感じたのは私だけではないはずです。
NHK首都圏ニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200909/k10012609241000.html
読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200909-OYT1T50028/
朝日新聞デジタル
https://digital.asahi.com/articles/ASN985WFVN98UTIL00C.html
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200910/ddl/k13/010/008000c
私の一般質問で初めてこの重大な個人情報の漏洩が明らかになり、事実上ここで初めて青木区長は情報漏洩被害者の方に対して謝罪をしたことになります。
事件の経緯
この個人情報が漏洩した事を目黒区が把握したのは令和元年9月末のことです。 DV等被害者の個人情報を加害者である元夫に対して居住地等の情報提供を拒む支援措置をとっているにも関わらず、令和元年9月における現住所を記載した書面を目黒区税務課の担当者があろうことか加害者である元夫に送付していた事、そして元妻の現住所を把握した元夫が突如、元妻の居住地に訪ね、元妻が警察に通報したことで個人情報が洩れていたことが分かったのです。
この一連の事件を引き起こしてしまったのは、本来であれば守られるべき立場の被害者の個人情報を加害者である元夫に対して目黒区が現住所を記載した書面を送付してしまった事が原因であることに争いはありません。
自治体としての責務
この事案の発生には「非開示情報と他自治体から提供された情報を、元夫に開示したこと」「記載された住所が令和元年1月1日でなければならないのに9月の現住所を記載したこと」など、明らかに目黒区税務課の失敗である複数の問題がありました。
私は今でもこういった非常に重い情報漏洩については、明確な「問題の発生」を公表することが自治体としての目黒区の責務だと思っています。
行政機関が失敗を繰り返さないために、常に失敗に関しては積極的に公表に努める事が求められており、公共機関は自分自身に不利益な情報ほど明確に開示する必要があると信じています。
ミスを起こさないための日々の業務改善、細心の注意を払い職務を遂行するという事は言うまでもありません。
しかし、軽微なものから重大なものまで日々ミスが起こる危険性は常にどこにでも潜んでいます。
だからこそ、その起きてしまった事実を認めて、まずは被害者の方に誠意ある謝罪をする。その後に、被害者の方への補償、そして反省を生かした再発防止策の公表を示すというのが筋なのではないかと考えるためです。
正式な事実の公表も謝罪もなし
中でも私が区の対応に特に問題があると感じた点は大きく2点
① 今回の件で区長が被害者に対して正式な謝罪を1年近くもしていなかったこと。
② 事実の公表について被害者の方の意向が全く確認されずに問題の発生から一貫して区側は事件の発生を公表していなかったこと。
これらは本来であれば発生後速やかに被害者の方に対して取られるべき対応だったと思います。それが約1年が経過しようとする今までなされていなかったことに極めて不自然さを感じます。
同時に、区長の答弁から事実を隠すことで第二第三の被害者を生みかねないという危機感がまったく感じられなかったことに私は今でも強い危機感を抱いています。
以下は私が一般質問で区長に対して質問した内容の概要です。
本日まで区長が隠蔽してきた「区長の公式謝罪もないDV等被害支援措置対象者の個人情報漏洩事件」は令和2年4月に実施した目黒区長選挙を有利にするため、行政一丸となって隠したように見える。目黒区は税務課職員の度重なるミスにより、DV等被害者支援措置対象女性の現住所を、加害者男性に送付した。加害者は突如被害者宅に訪問したが、警察の対応で事なきを得た。被害者の身を危険にさらし、母子三名の安心安全を奪い取った本区の責任は重い。しかし区長の正式謝罪はなく情報も公表されず発生から一年が経過する。この失態は区民や議会にすら隠蔽され続けており、区の対応からは第二第三の被害者を絶対に出さないという意識が一切感じられない。
- 一連の経緯を時系列で端的に説明せよ。
- この漏洩への対応方針は被害者意向を汲んで実施するのか。
- 漏洩させた職員への処分はどうなったか。
- 発生後の再発防止策実施状況。
- 昨年9月発生したこの事案をいつまでに対応し、直接謝罪は行うのか。時期を明確に述べよ。
事件から一年はじめて区長が被害者への謝罪の言葉
各社報道にもありますように、区長はこの重大な情報漏洩が発生した事実を認めた上で
本会議場で、被害者の方に対して大変なご迷惑をおかけしたこと、ご負担をおかけしたことを謝罪、そして結果的に税務課職員のミスを誘発してしまうことになっていた確定申告の一部に不備がある際に被扶養者の確認のために送付していた照会書の書式を改め、不必要な情報が印字されないようにシステムの改修も行ったとの答弁が得られた。
ただ私は、この照会書の書式変更だけでは不十分であり、支援措置がかかっている事案であることを共有できないかぎり、同様の事故は防ぐことができないと考えています。
だからこそ、未然に同様の被害を二度と招かないためにも、そして他の自治体への警鐘の意味でも速やかな事実の公表が必要であったと私は思っています。
被害者の方が、この情報漏洩事件はマイナンバーを使用している限りいつ、どこで同じような事が起こったとしてもおかしくない。だからこそ、こんなに辛い思いを二度と他の人にもさせたくない。と勇気をもって事実の公表を望んでいたことが、目黒区長に伝わらなかったことが残念でならない。
民間企業でも同様ですが問題が発生した時こそトップとしての資質が問われますね。