生活安全パトロール事業(通称青パト事業)に関して
昨年度の決算委員会でも私は同一事業者による同一内容の業務委託費用が値上がりした理由を尋ねました。その際には「入札をした結果がこの金額だったということです。」との説明を伺いましたが、今回の予算委員会では入札時期では無いにも関わらず契約金額がなぜだかまた大幅に上がっています。
生活安全パトロール事業での随意契約では、平成27年の入札では初年度の税込5,832万円での契約を3年間随意契約で続けました。しかし直近の平成30年の入札では初年度と2年目は税込6,480万円。それが今回の予算では税込み6,913万円で再契約がされようとしています。
【以下はこれまでの入札状況】
2015年の2月入札時に2番手だった事業者の入札金額(6,000万円)をこの5年間で完全に超えています。次の2018年の入札では2015年に5400万円で決まった同一事業者が6000万円で入札して現在も契約を継続中です。
以下はR2予算委員会で私が質問した内容のさっくりとしたまとめです。
(いずれ動画が区のHPに上がりましたらリンクさせます)
地域防犯力の向上は1億1,556万円とありますが、そのうち生活安全パトロール事業の推進は6,913万円余と60%にも及んでいます。
平成27年は5400万、平成30年には6000万円であり、年々増加の一方です。平成27年の区内の犯罪件数は2751件、平成30年には1871件と年々低下しているという公式発表を考えると、入札の年では無い今回の予算が7000万円近くになっているのはなぜなのでしょうか?
委託事業に人件費が含まれるのは当然だとしても防犯ボランティアの活動推進を行うための非常勤職員である生活安全推進員の旅費をこの項目に一括計上する事は予算として不透明となるのではないか?
予算編成概要から(私の汚いメモ書きはご容赦下さい)
今回の生活安全推進員の仕事が町会や自治会で自主的に行っている防犯活動と重なるのだったら、まさに生活安全パトロール事業と一緒にすることはふさわしくないのではないか?
こういった金額の切り分けを明確にしていかないと、同じ仕事をしているのに一部にはお金が出ていても、ほかには出されない、そういった事が起きる可能性が出てきてしまいます。長年努力してきた方々に対する配慮も含め、どういった運用で生活安全推進員を選定して運用するのかを明確にすべきではないでしょうか?
以下はざっくりとした役所答弁の内容
現在予算額の約7千万で契約更新手続き中
値上がり分は人件費の増加分によるもの
それと消費税が10%になったため、
結局のところ白川愛は何が言いたい。何でこんな質問をしたのか。
人件費の上昇を理由にしていますが、契約書にははっきりと、業務の継続に関して、業務の内容に変更が無い限り、翌年度以降に随意契約する契約金額は初年度の契約金額と同額になることに留意すること。と書かれています。
そしてこの契約は目黒区公契約条例をもとにした人件費上昇に伴う措置ではないという事も予算編成概要書の記載内容から確認しています。また契約書を確認してもそういったことで内容を変えるといったことは明記されておりません。
合理的に考えて一気に金額が変わる、当初の入札では不可能であるとか、入札金額での実施が困難であるのなら、そこで新たに入札を行うのが筋ではないでしょうか?
そもそも契約途中での金額変更に対しては行政と委託事業者間で価格に対しては、区民も納得できるような形での交渉が持たれるべきではないでそうか?
そして業務改善提案型の契約形態を取っている以上、事業者からの賃金に関わる提案がなされたのであればそれを、公表すべきではないでしょうか?そもそもそれらは公開を前提としているはずですから。企業秘密に該当する部分は黒塗りでももちろん構いませんが原則として公開可能なものとすること。という内容に同意して契約しているのであれば、区側が改めて事業者に提案書の開示の可否を確認するような事ではないと思います。(2月21日に情報公開請求をしましたが事業者に開示していいか確認するのに時間がかかるとの理由で延長の手続きが取られ4月20日まで公開できないそうです)
なぜならばそもそも入札に参加する事業者は最低賃金の上昇やガソリン代の値上がり等、それら予測値を含め3年間の契約を全うするための入札金額を提示しているはずだと思うからです。
外部委託事業は頼めば終わりでいいのか?
以前も区長がこの事業者の求人広告の在り方について、この様な表現で掲載していた事実を認め今は掲載を取りやめており表現も変更していると答えていますが、「車で目黒区内を巡回するだけ」等と業務があたかも簡単で気軽に始められる業務内容であるかのような求人広告を掲載していることに区側はそれまで何も違和感を感じなかったのでしょうか?
外部に委託している事業であっても目黒区の公共事業であるなら、区民に心配や不安を与える様な誤解が生じないようにこのような部分にもついても必要に応じた指導や確認をするべきなのではないでしょうか?
この事業に関してだけでは無く、私は以前も行政の「頼めば終わりの予算消化」とも取れる外部委託の在り方に警鐘を鳴らしてきています。絶対に潰れない大企業、すなわち行政では残念ながら、しばしばこの様な事案が散見されます。目黒区では事業継続に関してぬるま湯の環境にあるように感じられます。民間企業では危機的な経済状況の中で日々コスト意識を持って経営努力をしています。
今回の新型コロナウィルス感染症防止対策の影響で株価の急落をはじめとした混乱が起き実際経済にも大きな影響を与えています。その様な危機的な状況の中で目黒区行政のように、淡々と批判せずに前年の事業を継続するような余裕ある行動をしていては区民理解が深まらないと考えます。
区民からお預かりした大切な税金で外部に委託する。それは住民の皆様にしっかり還元できているのか。不満がなるべく減らせるような運用をされているのか。外部委託した事業者や指定管理者とは連絡を密にして現状把握に努める必要を感じます。外部委託で「委託したから所管の仕事は終わり」と考えてしまうことが常態化していたのではないかと心配になります。
行政資産を消費する事業はすべて、私たちの子供たち、孫たちに向けた「未来への投資」であるかどうかが大切です。現在の区民そのものに全てを還元するのではなく、将来の目黒区を育てる上で必要な投資である、それが見えるような行政資産活用、行政労働力活用を進めなければなりません。
目黒区長として「外部委託」や「指定管理者」というものを安易な丸投げではなく、明確な「未来への投資」にする視点で現下の社会情勢に照らして、緊張感のある運用していただきたいと思います。