令和5年度 企画総務委員会視察報告書

令和5年10月30日
無会派 白川愛

企画総務委員会視察
令和5年10月18日10時 福島市役所 909会議室にて福島市役所を訪問。福島市ペット同伴避難所について担当所管から詳しく説明を受けた。

ペット同伴避難所開設にあたり、ハード面では危機管理室、ソフト面では保健所衛生課動物愛護係がそれぞれ所管となっている。事業開始当初は予算もゼロだったが現在は300万円程度の予算を確保し運営している。

福島市と目黒区は人口比が同程度、一般会計予算も同程度。犬の登録頭数も同程度。大きな違いは、自治体面積が目黒区の約50倍であること。その他、福島市は車社会であること。

【開設に至った経緯】
令和3年当時市内に39か所ある指定避難所はペット同行可能な避難所であった。しかしながら、避難所においては、日頃から家族の一員として暮らしているペットの避難場所が駐輪所や軒下などであり、飼い主にとってはこのことが、避難を躊躇する一因になっていると市は考え、先ずは市内に1か所、ペットと一緒に避難できる避難所が必要だというのは誰しもが考えていたところではあった。

外は大雨なのに同行避難所に行けば、自分だけは避難所の中で、家族同然のペットは軒下と考えれば、これまでペット同行で避難所に訪れた市民がいなかったことにも納得できる。市民からもペットがいるから避難できないという声もあり、福島市の防災の取り組みとして、市民に躊躇なく避難をして欲しいという思いから、避難のしづらさ解消のため、ランドマーク的に令和3年9月1日から福島市の勤労青少年ホーム体育館を活用してペット同伴避難所が開設された。

【現在の運営】
体育館面積は500㎡でペット同士のトラブル防止や吠え声対策として2m間隔でテント24張り分を確保。ペット同士で気になると吠えるなどのトラブルになるため視界を遮るようにしており、テント内にケージを設置。ケージにペットを入れた状態で同じテント内で飼い主(世帯)と過ごすことができる。テント内はプライバシーが保たれてはいるが、テント内でペットを放し飼いにすることやリードを付けないなどの行為は禁止している。

【設置の目的】
ベット同行避難所は動物と一緒に避難する場所であり、ペットを置いては避難できないという人の為に人間が避難できるようにするためにペットと一緒に避難できるようにすることが設置の目的であった。

【場所の選定】
ペット同伴避難所開設に際し、ヨーカ堂など民間商業施設の駐車場などを利用させてもらえないか交渉をしていたが、ペットが中に入っても良いという民間施設は無かった。そこで勤労者のための福利厚生施設であった同体育館に開設できるようにした。選定に際しては優位だったのは勤労青少年ホームは浸水想定区域ではない。同敷地内に隣接する音楽堂は市民に広く知られた存在である。

北側の隣接地には100台分の広大な駐車場がある。そもそも以前から、この駐車場には自主的に車中避難をしている市民がいた。福島市は車社会である。ことなどがあげられる。

【ペット同行避難所開設に向けた取り組みとして】

1.福島県獣医師会との協定締結
令和4年3月29日「災害時の同伴避難所における動物の支援活動に関する協定」を公益社団法人福島県獣医師会と締結。この協定により、同伴避難所に避難してきたペットに対する応急処置(治療は不可)、診療施設への受け入れ、不安を抱える飼い主に対しての相談、公衆衛生に関することや飼育に関する管理指導などが行えるようになった。避難所の受付では犬の登録や狂犬病予防接種の有無の確認などの確認など問診を行っている。(福島市の保健所担当者は協定は締結しているが、最悪の状況を想定して保健所にいる3名の獣医師プラス職員1名で同行避難所を回せる覚悟はもっている)

2.市民参加とボランティアが事業のカギ
市民参加
人とペットの避難に関するワークショップを開催(R3.7/1)第1回
災害の備えた飼い犬のしつけ方教室開催(R3.7/3 and 10)(講師にドッグトレーナー)
ペット同伴避難所現地視察を実施(R3.8/2)
人とペットの避難に関するワークショップを開催(R3.8/2)第2回
ペット同伴避難所避難訓練の実施 (R3.8/25)
ペット同伴避難所 実施研修・防災訓練を実施(R4 10/27)・・・避難所近隣地区の住民を対象に防災訓練を実施、ペットが避難してくるということを周知するため。全ての築十問がペットフレンドリーな訳ではないので近隣の住人の方々にも慣れて頂くため。

3.市の動物愛護ボランティア
福島市では初となる動物愛護ボランティアを設置(R4. 9/1)
ミルクボランティア(現在休止中)、猫保護ボランティア、預かりボランティア、シャンプーボランティア、しつけボランティア、災害時ボランティアとボランティアの内容を細分化している。
令和5年5月15日時点でのボランティア数は22名
ボランティアは避難所内の経路や備品を確認しテント・ケージの設営の訓練を実施

【メモ】
福島市の犬の登録頭数は約1万3千頭
愛護動物の範囲を同行避難所受け入れペットの範囲としている

【訓練等実施して改善したこと】
飼い主はペットを連れていると片手にリードを持っているため避難所の受付での必要事項記入が大変であった、そのため備品としてアンカーを準備するようにした。

【課題】
ペット同伴避難所に存在の周知不足
市民の中には同行と同伴の違いが判っていないケースもあると考えられる
実際の災害時の需要見込みが難しい
市内住民に限らず、登録が無いペットも災害時には避難してくる可能性もある
その場合は獣医師が問診をして受け入れる方針
避難が長期化してきた場合は車中避難の継続は困難
飼い主が仕事にできる場合、病院に行くなどの場合はお散歩ボランティアが活躍する予定

【その他】
備蓄食料(フード)はローリングストック方式を採用。日頃から飼っていたペットが亡くなった等で市には沢山のペット関連の物品の寄付が絶えない。そのためそれらを活用して抑留犬や保護猫のフードと共に同伴避難所開設時の備蓄としている。避難所開設時のファーストミッションボックスには猫砂やトイレシートなども準備している。食料以外は現地に保管している。

令和5年度は予算を300万円程度取得。猫専用の上下に移動できるケージを購入。避難訓練・ボランティア研修・しつけ方教室実施を予定。夏の暑い時期は極力避けて涼しい秋に実施。年4回実施予定。日頃からケージに入るトレーニングをしておくことが大事。

しつけがなっていないペットは下のフロアのケージに入る、飼い主は上のフロアで避難と別々になる専用の避難所を設けることで、動物が苦手な方や、アレルギーがある方へも配慮できる。要配慮避難者のペット同伴避難については要配慮避難計画の中でどうするのかを考えることになる。

【目黒区の現状】
震災で家屋の倒壊や焼失、浸水などによりペットを自宅で待機させることが困難な場合、目黒区の地域避難所ではペットを連れて避難する同行避難を受け入れることにしている。避難所では、人の居住場所と動物の飼育場所は分けて生活。
ペットの安全と逃げださない措置が確保できる場合は、自宅で待機させることも考えましょう。←とういう方針。

注意:同行避難とは、飼い主とペットが同じ部屋で過ごすことや同居することを指すものではありませんので、ご注意ください。

毎年9月に開催される総合防災訓練には、ペット同行避難の体験コーナーを設けています。実際にペットをケージに入れ、飼い主が離れてみることで、不慣れな環境でペットがどのような反応や行動をするのか確認してみましょう。




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