すっぽん?のつぶやき請願編①

今日は目黒区議会についてまた?つぶやいてみようかと思います。
(ただし少々マニア向けの内容になってしまいました。すみません)

?すっぽんの疑問①~③

  • 請願や陳情の趣旨採択とは?
  • 採択と趣旨採択が同数になった時どうするの?(事例を交えてご報告)
  • 予算要求しただけで新規事業が実施されることが確実?それホント?

それでは1回目の今日は①と②について。

目黒区議会で請願の委員会審査されたのは実に33年振り。

?びっくり!!

★前提:委員会における請願の審査は、請願そのものを議決するのではなく、請願に対する議会の意思を決定するもの。

★原則:請願に対する議会の議決は「採択」もしくは「不採択」のどちらかであるはずです。しかし、「趣旨採択」や「一部採択」などの議決が存在するのはどういうことなのか?

それは修正できない請願の内容そのものについてはそのまま認めることはできない場合があるからです。

目黒区議会では「趣旨採択」という判断をすることが多々あります。ただし、これまで目黒区議会ではどういった時に「趣旨採択」とするのか?について他の地方議会のように明確な定義を示したことはありません。

?よくそれで何十年も運用できていたまぁ。むしろすごい。

これまで、私自身も趣旨採択に賛成する場合には、元最高裁判事や元総務省事務次官や衆議院事務総長などの著書の解説を参考に、一般的に便法として用いられている「趣旨採択の定義」に照らして自身の賛否の態度を決めていました。

ここでそれらをご紹介するとあまりにも長くなってしまうので、他の自治体(議会用語を分かり易く住民が検索可能にしている)練馬区議会の例をご紹介したいと思います。
https://www.city.nerima.tokyo.jp/gikai/yogo/50on/sagyo/sa07.html

趣旨採択

請願(陳情)の願意については十分に理解できるが、財政事情等から当分の間は願意を実現することが困難な場合などに、便宜的に「趣旨には賛成である」という意味の議決をすることがあります。この場合の決定方法のことをいいます。と書かれています。 その他の地方議会として参考にさせて頂きますのは?も以前個人的に視察をさせて頂いた犬山市議会の例もご紹介したいと思います。


しかし、目黒区議会ではこれまで議会としての定義がされてこなかったこともあり、各議員の趣旨採択に対する定義がそれそれ曖昧であるという事が11月29日の生活福祉委員会で明らかになりました。

現在、目黒区区議会でも議員在職期間の長い某議員が委員長が趣旨採択を諮ろうとした時に「趣旨採択」とのことですが、請願事項のどの部分の趣旨を採択したのでしょうか?説明して下さい。と発言したのでした。


?良くぞ聞いてくださいました!!先輩♡

この日、生活福祉委員会で審議されていた「重度障害者の就労・修学支援に関する」請願の請願事項は「区は請願者が利用できるように本事業の実施を速やかに決定することを求める。」という至ってシンプルな内容でした。

請願書の全文はこちらからご確認頂けます。
https://aishirakawa.tokyo/info/5593

それに対して委員長(自民党)は「趣旨採択」とする理由を
「区は本事業の実施を既に決定しており、来年度の当初予算要求を行っている状況であることが確認できました。よって、区は本事業の実施を既に決定している状況にあるため」と述べました。

?こっ。これは、どういうことでしょうか?!担当所管が予算を要求しただけで事業が既に実施することが決まってる!? 
それについてはついては次回すっぽんの疑問③で書くことにしますが、 一般的な他の地方議会における「趣旨採択を選択する場合」と随分異なった見解であることがわかります。

ここで委員長は休憩を取り、その場で事前に各委員の態度表明を確認します。(これはその後の進行上、委員長はどちらか数の多い方を諮るため)

「趣旨採択にすべき」と主張しているのは自民党、公明党、新風めぐろの3名。
そして「採択すべき」と主張しているのは共産党、フォーラム目黒立憲民主、N国党の3名。

いずれも同数になったためいざ採決を・・・・ちょっと待った。
?「採択」か「不採択」かを諮るのではなく、この場合は「趣旨採択」か「採択」かを諮る????

おそらくですが、こんな状況は今までの目黒区議会の歴史上も無かったのではないでしょうか?目黒区議会には「趣旨採択」か「採択」で票が割れた場合にどちらを諮るかというシステムがそもそも無いのです。
委員長はどちらかを諮らなければいけない。さぁどうする?←これは目黒区議会のバグです。

(例えば、「採択」が多ければ、委員長は「採択するに賛成の議員の挙手をお願いします」といって委員に態度を表明させることを「諮る」と表現します。そのため委員長は休憩を取って休憩中に各委員に事前に確認しておかないと諮ることができないのです。)

この状況を整理するため委員長は休憩を宣言。お昼休みも挟んだので約1時間半の休憩後、委員長が再び委員会を再開。

委員長「請願の採決について、休憩中に委員で協議しました結果、趣旨採択に賛成の委員が多かったため、趣旨採択について諮ることと致します。」と発言しました。

?そう。先ほどまで委員会室では同数になっていましたが、休憩中の別室で委員長の判断(自民党である委員長が他の自民党委員の主張する趣旨採択に委員長の1票を投じたと同義と?は理解)により趣旨採択に決まっていたのでした。

委員長「趣旨採択に賛成の委員の挙手をお願い致します」

先ほどまで「採択すべき」と主張していた2会派は趣旨採択に賛成。

最後まで「趣旨だけの採択」には賛同できない、あくまでも「採択にすべきだ」という1名の委員は、趣旨採択に賛成か?と問われているのですから、それには反対→手は上げない=不採択に。

?・・・なんだかなぁ~。請願者の要望を叶えてあげたい!と強く思う議員にとってはこの諮り方だと結果的に「不採択」になざるを得ないというのは・・・とても悲しいです。

やはり、こういう悲しい事態を生まないためにも、原則に立ち返り請願に対する議会の議決は「採択」もしくは「不採択」のどちらかであるはずという先人の教えがあるのでしょうか?
不採択にできないからといってむやみやたらに趣旨採択を連発するなよ。
採択か趣旨採択かで割れるような事案なら事前にコンセンサスを取っておけよ。
という先人たちの教えだとすっぽんは一人思うのでした。

しかも ?はこの日たまたま自身の所管委員会が開催中止になったため、他の委員会を傍聴することができましたが、通常であれば同日同時刻に開催されている他の委員会は物理的に傍聴が不可能ですから議事録に残らない休憩中のやりとり等を知る由もなく、採択したい議員が不採択を選ばざるを得なかったことも議事録からは知り得なかったでしょう。

?の心の声:採択か不採択かで割れるのは仕方ないよ。それはさっ、色んな考え方があるからね。否定はしないさっ。でもさっ。趣旨には賛同できるんでしょ?だったら採択することの何に不満なの?

重度の障がいがあっても、重度訪問介護を利用すれば自宅で生活することはできますよ。

でもね、国は、重度訪問介護サービスの個人の「経済活動に係る支援については認めない」という見解を示しているから、就労中をはじめとして対価が発生する活動時には利用できないことになります。大学等への通学も「長年かつ長期にわたる外出」にあたるため通学中の重度訪問介護が利用できないという現状にも問題がありますよ。でもさっ、国もそれがわかっているから、助成制度や特別事業を設け、障がい者の就労や自立した地域生活を実現できるように雇用者や地方自治体に対しての選択肢も増やしているわけで、国(50%)都(25%)が補助金という形で経済的な負担をして目黒区が国や都の補助金も活用して区民が事業を利用できるようにしているんだよね。

とはいえ、あくまでも任意事業(必要な事業かどうかは目黒区の判断。実施するかしないかは区長次第。)←なので、請願者担当所管に直接要望書提出。それでも動かないから議会にも請願。?は区長に予算要望。

学びたい。社会に出て働きたい。経済的にも自立したいと思う区民の要望を叶えてあげたいと思っていることには自民党だって公明党だって新風めぐろだって賛同しているわけでその思いは同じなのに、なぜ?自民党が趣旨採択にそうも拘った理由は未だに?には判りません。

?まとめ

必ずしも住民のすべての権利や利益が法によって保護されているとは限らない。
だからこそ住民の請願によって議会は行政の執行上の問題点を知る機会を得られることは貴重なのです。それによって議会は執行機関に対する新たな統制や監視の可能性を広げられるのです。

この度の委員長の報告に無批判に従えば『区は本事業の実施を既に決定している』らしいので、来年4月から請願者が就職、もしくは進学する時には制度が利用できるようになっているはずです。
私の議員としての任期も残りわずかとなり事業実施まで見届けられるかは現時点では不透明ですが、4年前区民の皆様の信託を受け、この請願の紹介議員になれたことはとても嬉しいです。

夢を掴んでね^^


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